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Ambidextrousであるということ(その2)

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先日Steveのブログポストから「ambidextrous(両刀使い)」というコンセプトを抜き出して、これはクリステンセンが戒めるところの「イノベーションを内部養成しようとして失敗する試みではないか」という疑問について書いたのだけど、このあたりは今、僕達が大企業におけるイノベーション促進のお手伝いをする際のキモでもあるのでもうちょっと捕捉しておきたい。

実はクリステンセンと同じHarvard Business SchoolのMicheal TushmanとStanfordのCharles O’Reillyは「クリステンセンがいう大企業のイノベーションの第三の選択肢=スピンアウト」では本体にイノベーションのプロセスが残らず結局本体はジリ貧から逃れられない」という問題点を指摘したうえで、独立した新組織をどう既存組織と両立させながらマネージするのかについて踏み込んだ分析をしている。曰く、大企業の中に新規事業のための独立した組織を作る場合の選択肢として、

A)Cross-functional Teams=従来の縦割り組織を横断しつつもどの組織の指揮管理系統からも独立した(パーマネントではない)プロジェクトベースの組織

B)Unsupported Teams=従来の縦割り組織に並列するトップ直轄のプロジェクトベース組織

C)Functional Designs=外形的に独立した組織を作らず従来の縦割り組織が協力してプロジェクト運営する新規事業プロジェクト

D)Ambidextrous Organizations=既存の縦割り組織から独立してトップマネジメント直轄で新規事業のためだけに組織される持続的組織(=事業部)

という4類型を挙げ、A)→D)の順に成功率が高まるとしている。

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僕達自身が大企業の新規事業開発のお手伝いをする際、まずB)として顧客開発を通じた仮説検証によって新規事業の可能性を検証するためのテンポラリーなチームとして出発したうえで、顧客開発におけるマイルストーンにおいて一定の進捗を認めた場合(=例えば顧客実証が完了した場合)に、D)のパーマネントな事業部に移行する、といった動的な仕組みを設計し運用している。あるクライアント先ではこの制度を1年間運用した結果、D)のステージに進んだチームが数個出てくるところまで漕ぎ着けている。

こういうアカデミックな経営理論と現場叩き上げの顧客開発手法を統合しながら「リーン・スタートアップで新規事業開発を大企業でも!」をお題目に終わらせないチャレンジをこれからも続けていきたい。

このあたりは僕達が今一番チャレンジングと感じながら実践しているところでもあるので、成果と失敗(もちろん試行錯誤の連続で、なかなかつらいことも多いんです)をできるだけ生々しく共有していきたい。

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